釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
私のために待っていてくれたお母さんと向き合って夕飯を食べる。
「うどん屋には馴れてきた?」
「・・・ぼちぼち。」
「そう。・・・早く就職先が見つかると良いね」
お母さんの言葉は決して私を責めているわけではないのに、その優しい声色が胸に刺さる。
「・・・ごめんね。妹達みたいに安泰じゃなくて」
私が俯きながら呟くと
お母さんは「何言ってるの」と、嗜めるように笑った。
「昔っからしっかり者で手がかからなくて、彩葉にはお母さん、甘えっぱなし。
昔、あまり彩葉に手をかけてあげれなかったから、彩葉が帰ってきてくれて嬉しいよ。
都会で何があったか知らないけれど、後ろばかり見てたら再スタートも切れないわよ?
なんなら、お見合い相手でも探してあげようか?」
最後の方は冗談混じりに笑ったお母さんに「それも有りかもね。」なんて、冗談で笑い返す。
今はまだ、新しい恋はできなさそうだ。
次女は少し離れた街で小学校の教師をしている。
同僚との結婚も決まっていて行く末は安泰だ。
三女で末子の妹は高校卒業後、町内では有名な工場に勤務して、そこの工場長の息子とデキ婚。今は年子の男の子を育てる立派なお母さん。
三姉妹で、唯一、ふらふらしてるのは、先に生れた長女の私だなんて・・・
お母さんには申し訳ない。