釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~


「そうそう。二人に彩葉が帰ってきてること伝えたら、週末のクリスマスに顔出すって言ってたわよ。」

「そっか・・・」


そうか

四季は感じていたはずだったけれど、今年は色んなことがありすぎて、時間の感覚も無くなっていたけれど、もうそんな時期か・・・。

どおりで、風も冷たくなってるわけだ。

9年、あまり雪の降らない土地にいたからすっかり忘れていたけれど、ここは雪国。

「・・・今年、まだ雪降ってないよね」

「そうね。テレビで言ってたけど例年より遅いみたいよ」

「雪掻き面倒だね。

年末までにはコタツだそうね。」


「そうね。今年は彩葉に色々手伝ってもらうわね」


母子二人の静かな会話。

もうそろそろ本格的に淋しい季節がやってくる。

街頭の少ない夜道は雪が積もると、それが新雪の粉雪ならなおさら、月の僅かな明かりに照らされて、銀箔の世界に変わる。

宝石があちらこちらに散りばめれたように輝くから、街灯すらそれほど必要さを感じないほど、冬の夜道は綺麗だ。

だけど、あまりにも真っ白で

綺麗すぎて

寂しくなる。

響君は雪国の、そんな宝石を見たことがあるかな・・・?

彼のことを思い出して、思わず苦笑い。

きっと、彼は私のことなんて忘れて

いつもと変わらない日常を、今日もあの場所で送っているんだろう・・・。


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