釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
彩花の取り出した小箱に見覚えがある私は、信じられない気持ちで、その小箱に釘付けになった。
鼓動が徐々に早くなる。
「これ、姉ちゃんの会社の新商品でしょ?」
彩花がそう言いながら開けた小箱の中に入っていたのはそう・・・
製造中止になったはずの香水が入っていた。
「どうして・・・?」
思わず息が詰まりそうになる。
すると彩月が「あ、それドラマのプロポーズシーンでやってたやつでしょ?」と、香水を手に取る。
「凄いオシャレなデザインじゃん。
確か・・・恋に落ちた王子様だっけ?」
「そうそう。ドラマ放送翌日に発売されて、一瞬で売り切れ殺到。
彼氏も必死にゲットしたって言ってた。」
二人の会話がまるで、夢の中の話のようなのに・・・
自分でも気づかないうちに涙が零れていた。
「・・・彩葉?」
心配するお母さんの声。
ううん。
私は悲しいんじゃない。
嬉しくて
切なくて
恋しくて堪らない・・・。
一度、製造中止になった事をを覆す事ができる人はあの会社で彼しかいない。
響君は・・・
私を忘れてなんかいないんだって
そう思ったら
切なくて
会いたくて
どうしようもないほど会いたくて
涙が止まらなかった。