釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
#8
その頃
「響社長、今夜は家族揃ってのディナーにすると國一様から言われておりますので、そろそろお帰りにならないと・・・」
社長室の窓の外は、いつものビルの明かりの殺風景な景色と違い、クリスマスの賑わいでネオンが華やかにきらきらと光っている。
そんな中、そんな賑わいに目もくれずに肩肘つきながら書類に目を通す響がいた。
「帰りたいなら緒方一人で帰りなよ」
「そんなこと・・・できるはずないじゃないですか。」
「そうだろうね。親父に逆らうなんて事は緒方にはできないだろうね・・・」
「・・・私は雇われの身ですから」
「知ってる。
それと、俺は帰るつもりなんてないよ。
それにら母さんはアメリカに行ったままなのに家族揃ってもないだろ。
今日はクリスマスだよ?
俺にプレゼントとか、用意してないの?」
つまらなさそうに書類を見ながら、子供のようなことばかり言う響に、緒方は肩をすくませた。
「白兎ちゃんがいなくなってから、社長は少し、おかしいです。
お姉様や國一様とも顔を会わせようともしない。
いいですか?世の中に女性は彼女しかいないわけじゃないんですよ?
初恋は良い思いでとして片付けて下さい。
そしてもっと神門家の跡取りらしくして下さい。」
彩葉がいなくなってから、何度同じ説教をしたことだろうか。
ここまで来ると呆れてしまい、言葉に熱も込められない。