釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
*****緒方side*****
幼い頃、神門財閥の執事として働いていた祖父に連れられて、よく、神門のお屋敷で遊んでいた。
そこで出会ったのがフランス人の女の子のレラだった。
神門家の住込み家政婦の娘で、父親はすでに亡く、いつも与えられた部屋で、日本の童話をよく読んでいた。
レラは元々フランスで生まれてすぐに父親の転勤で日本へやって来て、父親を事故で亡くしたらしい。
そこで、母親がここの住込み家政婦となって、なんとか生活をしていた。
腰まである癖毛のブロンドヘアーに雪のように真っ白な肌。まるで「絵本でよく見たアリスみたい」
初対面で思わず呟いた私に、レラは「私はあなたをおお伽噺にでてくる二本のお姫様かと思ったわ」と、当時6歳だった二人は意気投合して、直ぐに仲良くなった。
祖父に連れられて来るたびに私はレラとたくさん話をしたり遊んだりもして、数年後には唯一無二の大親友になっていた。
レラはいつか、母親と生まれ故郷のフランスに帰りたいっていつも言っていた。
私は「そうなれば良いね」と、言いつつレラが日本から居なくならないで欲しいと願っていた。
そんな私の願いはレラの母親が病気で亡くなるという、とても悲しい形で叶ってしまった。
当時、私達は16歳。
幼い頃から飛び抜けて可愛かったレラは、その頃にはもう、國一様の心を奪ってしまっていたのかもしれない。
母親が亡くなった後も、レラは神門家から追い出されることなく、学業に励みながら、神門家の家政婦として働き始めた。