釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
私はそんなレラが心配で、祖父に頼み込み、神門家の次期執事として見習いを始めた。
ううん・・・心配と言うよりはそう
レラをこんな不幸にしてしまったのは自分の責任だと、罪悪感のほうが強かった。
それから暫くして、お互いに高校を卒業した頃だった。
レラからとんでもない相談を受けたのだ。
「國一様に結婚を申し込まれたの・・・」
その時のレラの様子は、喜んでいるというよりは、戸惑いに震えた様子だった。
戸惑うのは無理もない。
國一様には資産家の娘である時子様(後の響の母親)という婚約者がいたのだから。
そんな両家が決めた婚約者がありながら、家政婦に求婚をした國一様を、ご両親は当たり前に反対した。
それなのに、遂には屋敷にいる者、皆が感じるほど國一様のレラへの愛情は日に日に見てとれるほど増していった。
そのせいで、レラは幼い頃から良くしてくるはていたはずの仲間たちから嫌がらせを受け始めた。
「どうしていいか、わからない」
レラが隠れて、私の前で泣く日も増えていった頃
とうとう、國一様は反対を押切り皆の前で、レラへ盛大なプロポーズをした。
そして、レラは不安気に、だけど幸せそうな笑顔を見せて頷いたのだ。
私はそれが不思議だったのだけれども、後々「毎日のように好きだ。愛してると、言われてるうちに、いつの間にか國一様が自分の心の中にいた。」
そんな話を聞かされて、人の気持ちほど、分からないものは無いことを知った。
だって、幼い頃からの親友で毎日のようにレラと顔をあわせていたはずの私でさえ、彼女のそんな気持ちを少しも知らなかったのだから。