釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
「國一様もレラも関係ないですよ。
想いだけでは誰かを幸せになんて出来ません。
誰かを愛するということは、誰かの人生を背負うということは・・・
好きだという気持ちの何倍も責任を持たなきゃいけないことなんです。
響社長・・・
貴方の仕事ぶりを見ていても、貴方にそこまで責任を背負えるとは、私には思えません。」
緒方がムキになったのを、響はもしかしたら、生まれて初めて見たかもしれない。
「俺は彼女を不幸にしない。
彼女と会えるなら・・・神門の名前だって捨ててやる覚悟はあるんだっっ‼‼」
緒方もまた、ここまで何かに執着する響を見たことがなかった。
「・・・一体、貴方は彼女のどこに、そんなに惚れ込んでいるというのですか・・・?」
不思議そうに訊ねた緒方に、響は考える間もなく答えた。
「好きな理由なんか一つだよ。
彼女のことしか考えられない。」
馬鹿の一つ覚えのようなセリフを、どうしてこんなに清々しい笑顔で言えるのだろうか。
緒方にはそんな響が、いつかの國一と重なって見えてしまう。
だけど、響は國一ではない。
「神門の名前を捨てれるほどの覚悟、私に見せてもらえますか?」
半ば、仕方なく折れたように訪ねた緒方に、響は強く頷いた。
「当たり前だろ。」