釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
突然、そんなことをされて、あんなに零れていた涙も、驚きと恥ずかしさでピタリと止んだ。
代わりに自分でも分かるくらい
熱くなる音が聞こえてくるんじゃないかと思うほどに、一気に顔中が、恥ずかしさで火照った。
「な、なにしてるの⁉」思わず目を見開くと、響君は嬉しそうに白い歯を見せて笑う。
「だって、泣き顔も好きだけど、違う表情も見たかったんだ。」
「だからってっ・・・な、舐めることないじゃないっ!!」
「返事をくれないなら、もっと凄いことするよ?」
騒ぐ私に、チラッと一瞬、舌先を見せて悪戯な笑顔を浮かべる。
もっと凄いことって⁉
それより家族が見てる前でっっ!!
よりいっそう真っ赤になる私に、彼は答えを迫る。
「YESか、はい。か・・・君に与えられる選択肢はこの二つのどちらか。
じゃなきゃ。
本当に強引に連れ去っちゃうよ?」
余裕そうに笑う響君。
さっきまであんなに不安そうな顔をしてたくせに・・・
「なんで突然こんなに意地悪になっちゃうの⁉」
恥ずかしくて、少し大きな声をだしてしまうと
響君はようやく、穏やかな笑顔をくれた。
「君の気持ちに確信を持てたから。
それなのに焦らすのが悪い。
それに俺は結構、意地悪で我儘なんだよ。
君に対してだけわね・・・」
そう言って、私の手から香水を奪うと
瓶に刻まれたアルファベッドを指差した。