釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
#9
「現代版シンデレラの忘れ物は硝子の靴じゃなくて、硝子のビンだったわけねぇ・・・」ニヤツきながら私達の反応を楽しむ彩花。
「硝子のビンって何よっ!失礼ね?
これは私の血と涙と汗の結晶よ?」
その後、話が一段落した所で、「とりあえず、風邪ひくから、居間に戻りましょう」と冷静なお母さんの一言で、急に我に返って恥ずかしくなってきた私達を、彩花がからかった。
一通り、響君から事情を聞いたお母さんは、
家庭環境の違いで私達の事を反対するかと思っていたけれど、お母さんはいつものように
「彩葉なら大丈夫。あなたにこんな素敵な人がいたことが嬉しいわ」と笑った。
私がここへ帰らざるをえなかった話も全て知って、お母さんの心境は私には分からなかった。
昔から心配性なお母さんだから、もしかしたら、本当は関わって欲しくないと思っていたかもしれない・・・
「狭くてごめんね?」
響君も今夜は泊まる事になって、私の小さなベッドに二人で入る。
「狭いのは気にならないんだけど・・・」
豆球のせいかわかないけれど、微かに響君の頬が紅いように見える。
それは
もしかしたら私も同じかもしれない。
好きな人と
一つのベッド。
意識しすぎて、鼻息荒くないか気になって仕方ない。
ちょいちょい息を止めながら、緊張してるのを気づかれたくなくて掛け布団を頭までかぶった。