釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
「彩葉ちゃんが何処に行ったとしても
俺が君を守るから。
だから安心して新しい環境に行きなよ。」
「響君が、私を守って・・・くれるの?」
ちょっとだけ、愛の告白に聞こえる言葉に、一瞬、ドキッとした。
「・・・このビルの清掃員の響君が、別の場所に行く私を守ってくれるの?
・・・ふふっ。
ありがとう。そう言ってくれただけでも、ちょっと励みになったかも。」
響君の言葉が単に、社交辞令と気付いて、笑顔を返すと。
彼は私の右手をきゅっと握りしめた。
「冗談なんかじゃないよ。
俺が君を守るから。」
真剣な眼差しで見詰められて
不覚にも
耳が熱くなった。
頼り甲斐があるかないかじゃない。
不覚にも
響君を初めて本気で〃男〃として意識してしまったのだ。
もう
此処で君と会うことが出来ないと知ってるのに・・・。
そんな日に
意識してしまった恋は
きっと、夢で終わるに違いない。
だって
この日、響君に連絡先を聞かれることはなかったんだから・・・。