釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~


屋敷から少し離れてもまだ、神門家の敷地内

ようやく二人きりになれて

私は自分から彼の手を繋いだ。

「さっき、黒服の人から守ってくれてありがと。

響君があんなに強いとは思わなかった。

凄く・・・格好良かったよ。」

「別に強いわけじゃないよ?小さい頃から護身術だけは厳しく教えられてただけ。

それに本当は彩葉ちゃんに恐がられちゃうんじゃないかって心配だった。」

歩き進める響君の手を私の方に引くと、響君は不思議そうに振り返り立ち止まる。


「また、恋人同士に戻れたね」

夢じゃないことを実感したくて、改めて確認した私に、響君も頬笑む。

そんな彼の唇に

私はできるだけ目一杯背伸びをして

自分の唇を重ねた。

すると、不意を突かれたような顔をして、一気に頬を染める君は

私を力一杯抱き締めた。


「あ~っ・・・もうっ!!

清く健全な交際ってなんだよっ・・・

俺は男として健全なのにっ・・・

彩葉ちゃんと一緒になれるのは嬉しいけど

俺にとってはそれまで、我慢ばかりになりそう。」


私を抱き締めたまま

素直にうなだれる。

響君の耳もとで

私も恥ずかしい告白をした。


「私も・・・同じ。」

「えっ⁉⁉」

驚いた響君が目を丸くして私を見るから

恥ずかしくてぷいっと顔を逸らして見せた。

なにも、好きな子に触れることを禁止されて我慢が大変なのは男の人ばかりじゃない。

女だって健全であれば

男の人と同じように″我慢″なのだ。




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