社長は今日も私にだけ意地悪。
「熱あるじゃねえか。馬鹿野郎、倒れるまで痩せ我慢するんじゃねえ」

社長にもたれきっている状態の為、彼の声がとても近くで耳に響く。
こんな状況なのに、それでなくても私は失恋した身なのに、彼の少し低めの私を心配する声に胸が締め付けられる。


「ほ、本当に大丈夫ですから。失礼しました……」

そう言って彼から身体を離すけれど、またしても立ちくらみがして、思わずその場にしゃがみ込んでしまった。


すると何故か、社長も私と同じようにその場に座り込む。
どうしたのだろうと思ったその瞬間。


「きゃっ⁉︎」

足元がふわりと宙に浮く。私の身体はいともたやすく、社長に抱えられてしまった。しかも……お姫様抱っこで。
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