社長は今日も私にだけ意地悪。
すると彼は、真剣な表情で私の顔をじっと見つめる。

その顔にドキンと胸を高鳴らせていると、彼は徐に口を開く。


「この間は……突然キスしてごめん」


いきなり言われたから、まず驚いてしまった。

だけどすぐに、


「……忘れるって決めたんです。その話は聞きたくないです」

と、目を逸らして答えた。
冷たい言い方なのは承知だけれど、これでいいんだ。きっとこれが正しい。
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