社長は今日も私にだけ意地悪。
「その子は、高校を中退して上京してきた十六歳の女の子で、歌手になる為のオーディションに受かり、うちの事務所に入ったんだ。
その子の歌は本物で、素晴らしいものだった。
俺はその子の歌を日本中に、いつか世界中に響かせたいと思っていた。
その子自身も同じ考えだと思っていたから、俺はその子の為にととにかく営業を掛け、仕事を取ってきた。
でもそれが……彼女にとってプレッシャーになっていたみたいでね。
だけど俺はそれに気付いてあげられなかった。
そして彼女は……ある日突然、歌手を辞めて地元に帰っていったよ」
全部俺のせいだった、と社長は言う。
「でもそれは社長のせいなんかじゃ……。突然だったんでしょう?」
「周囲にも家族にも言われたよ。お前のせいじゃないって……限界を迎える前にちゃんと自分の気持ちを伝えない彼女が悪いんだって。
だけど俺はそう思わなかった。
俺が彼女の心の声にちゃんと気付いていれば、彼女は夢を追い続けていたかもしれない。
マネージャー業にはその力が不可欠なのだと思い知ったけれど、俺にはそんなこと出来ないんじゃないかと、どうしようもない気持ちに苛まれたよ。
そんな時に、芽衣に出会った」
その子の歌は本物で、素晴らしいものだった。
俺はその子の歌を日本中に、いつか世界中に響かせたいと思っていた。
その子自身も同じ考えだと思っていたから、俺はその子の為にととにかく営業を掛け、仕事を取ってきた。
でもそれが……彼女にとってプレッシャーになっていたみたいでね。
だけど俺はそれに気付いてあげられなかった。
そして彼女は……ある日突然、歌手を辞めて地元に帰っていったよ」
全部俺のせいだった、と社長は言う。
「でもそれは社長のせいなんかじゃ……。突然だったんでしょう?」
「周囲にも家族にも言われたよ。お前のせいじゃないって……限界を迎える前にちゃんと自分の気持ちを伝えない彼女が悪いんだって。
だけど俺はそう思わなかった。
俺が彼女の心の声にちゃんと気付いていれば、彼女は夢を追い続けていたかもしれない。
マネージャー業にはその力が不可欠なのだと思い知ったけれど、俺にはそんなこと出来ないんじゃないかと、どうしようもない気持ちに苛まれたよ。
そんな時に、芽衣に出会った」