社長は今日も私にだけ意地悪。
四人全員が、こちらをじっと見つめてくる。
彼らに会ったら、いつも通りの私で明るく元気に振る舞おうーーそう思っていたのに、途端に緊張が増して何も言えなくなる。
まだ無名の新人アーティストのはずなのに、こちらが思わず怯んでしまうくらい、雰囲気のある人達だった。


「初めまして。お待たせしてすみません。どうぞ、皆さんお掛けください」

言葉に詰まる私に代わるように、佐藤さんがそう言ってくれる。
立っていた人もパイプ椅子に座る。彼らはテーブルに沿って横一列に並ぶ。
そのテーブルを挟んだ正面に佐藤さんも腰掛けた。


「おい、早くお前も座れ」

思わずハッとする。その場に立ち尽くしてしまっていた。


「よろしくお願いします」

なんとも頼りない弱々しい声でそう言って頭を下げると、私も佐藤さんの隣に腰掛ける。


正面から間近で彼らを見ると、全員が想像以上にかっこいい。
芸能事務所に所属する人達とはいえ、俳優でもアイドルでもなく、彼らは歌を届けることを仕事にする歌手だ。まさか全員がここまでの容姿をしているとは思っていなかった。
特に、佐藤さんの正面に座る金髪の男性は、今流行りの俳優にも全く引けを取らない圧倒的なイケメンだ。
< 11 / 154 >

この作品をシェア

pagetop