社長は今日も私にだけ意地悪。
「まあ、そんな感情とは別に、芽衣をRED searchのマネージャーにしたんだ。
俺も彼等の歌には惚れていた。絶対に売り出したい。それには芽衣が一番適任だと思った」

「で、でもそれならあらかじめそういうことにしておいてくれれば……何も、入社式に突然決定付けなくても……」

「社長権限。芽衣の困る顔を見たかったから」

「酷いっ」

何ていう理由なの。
だけど、「素の自分で直接話すきっかけも欲しかったしな」と言われたら……許してしまう私は完全に彼に落とされている。


「だけど、俺が突然マネージャー業に就かせたせいで倒れるまで追い詰められていたのなら申し訳ない……。もし辛いなら、すぐにでも担当を変えるが?」

「えっ、え? 違います!」

私は首をぶんぶんと横に勢い良く振る。


「確かに、突然マネージャーに任命されて驚きましたが……倒れてしまったのは、私が食事や睡眠を疎かにしてしまったせいです。私、仕事はとても楽しいです」

RED searchの四人はちょっぴり生意気で腹が立つことも時々あるけれど、根はとても良い子。何より……歌が素晴らしい。
彼等の可能性を、歌を、世の中に広めていく仕事だなんて、わくわくが止まらない。

毎日が楽しい。
< 113 / 154 >

この作品をシェア

pagetop