社長は今日も私にだけ意地悪。
つられて笑っていると、不意に彼の右手が私の顎を持ち上げる。


「ん……」


触れ合う唇は、とても熱い。どちらの熱かわからない。


何度も角度を変えて、何度もキスをされる。


恥ずかしいし、上手く息が出来なくて苦しさを感じながらも、一瞬でも唇が離れたら寂しくて、自分から追い掛ける。


だけど、何だかそれを繰り返したのち、彼が私の身体を引き剥がす。


「社長?」

「熱がある相手に、これ以上させる訳にはいかないからな」

そう言って彼は私の頭を撫でる。


この先……と言うと、そういうこと……だろう。

確かに、両想いになったばかりだし、まだ早いよね……?


……だけど。


「……嫌です」

「芽衣?」


離れたくない。


「まだ社長と、触れ合っていたいです……」

自分でも、凄く大胆な発言をしている自覚はある。けれど、この気持ちは抑え切れなかった。


すると彼は私をベッドに押し倒し、覆い被さってくる。

私の上にいる彼は、どこまでも真剣な表情をして私を見つめる。


「そんな顔してそんなこと言われたら、止められないからな」


そう言って……彼が自身の唇で私の唇を塞ぐ。

先程よりも深く、甘いキス。


「大好きです」

唇が解放されると同時にそう伝えると彼は、


「俺は愛してるよ」

そう言ってまたキスをしてくれて……


深く愛し合った。
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