社長は今日も私にだけ意地悪。
思わず目を見開く。
いや、社長とのことはバレていないはず!
きっと担がれているだけ……と思って平静を装うけれど、白石さんだけでなく他の三人も「だよな」と頷いているから、思わず「何で知って……」と白状してしまう。


「だってめぇちゃん、最近は前よりメイクちゃんとしてるし」

「えっ」

「毎日幸せオーラだだ漏れだし」

「え、えっ」

井ノ森さんと木崎さんの言葉にわかりやすく狼狽えていると、青野さんに冷静に、


「そう言えば芽衣さんの今日の服、昨日と同じだよね?」

と言われ、
「えっ⁉︎ ちゃんと着替えたはず! ……はっ!」
という失言をしてしまった。口元を両手で抑えるけれど、時既に遅し。
いつも控え目で無口な青野さんがカマかけてくるなんて思わなかったからやられた!


「俺達だけ恋愛禁止で、自分は幸せか」

じとっとした目でこっちを睨みながら、木崎さんがやはりじとっとした声で言う。


「え、えーと……とにかく、今は恋愛より音楽に力を入れていきましょう!」

おーっ、と拳を頭上に突き出してみるけれど、賛同してくれる人はいなかった。


でも、私も自分ばっかりが恋愛にうつつを抜かす訳じゃない。

社長と約束した。

いつか、RED searchを日本一のアーティストにするって。

そして、世界でもその名を轟かせ、世界中にファンを作ろうって。

その為なら、私に出来ることは何でもやりたいと思っている。


RED searchは、ファンだけじゃなく私にとっても流れ星のような存在。

眩くて、何度でも見たくなる、追い掛けたくなる。


ーーどうか、彼等と一緒に最高の夢を見続けられますように。


そう願いながら彼等を改めて見回すと、彼等も笑ってくれた。
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