社長は今日も私にだけ意地悪。

その後も園内で楽しく過ごし、日もすっかり暮れ始めた、そろそろ帰ろうかとなった頃。


「帰る前にあれ乗らないか?」

圭さんがそう言って指差したのは、この遊園地の目玉の一つでもある大きな観覧車。


列にしばらく並んで乗り込んだゴンドラに、圭さんと向き合う形で座る。
窓からは都内の広い景色が一望出来た。


「凄いですね……」

思わず口から感想が溢れるけれど、そんな単純な言葉しか出てこなくて少し恥ずかしい。
どうせまた、子供みたいだなとかそういう意地悪なこと言われてからかわれてしまうんだ。


ーーそう思ったのだけれど。


「圭さん?」

彼はどこか険しい表情で、黙って私を見つめる。


真っ直ぐに射抜かれそうなその瞳にドキリとするけれど、急に変わった彼の様子に対して妙な緊張感が走る。


すると、彼が徐ろに口を開く。


「俺は芽衣が好きで、愛してるよ」

急な告白に、心臓がさっきよりも激しく鼓動する。


「圭さん……ええと、あの……?」

「ずっと俺の側にいて欲しいからーー何もかも捨てて、俺と一緒になってほしい」


何もかも……え?
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