社長は今日も私にだけ意地悪。
「今すぐにとは言わないが、俺と結婚して、仕事は辞めてほしい。さすがに立場上、同じ職場でずっと働かせる訳にはいかないからな」

まさかのプロポーズに胸がときめいたことは否定出来ない。


だけど……。



「……それは、駄目です」


私も彼の瞳を真っ直ぐに見つめ返しながら、そう答えた。



「あ、あの。お気持ちは凄く嬉しいですし、私なんかがこんな偉そうなこと言える立場でないのもわかっています。それに、一生駄目とかではなくて、私もいつかは圭さんと結婚、したいと思っています。だけど、その……



もうしばらくは、RED searchのマネージャーとして、彼等の活躍を支えていきたいんです」



今はまだ、RED searchという名が世間に知られ始めているだけで、彼等のことを知る人達は殆どいない。

だけどデビューも控えているし、これから活躍の場を広げていくことは出来るはず。
……その活躍の手伝いを、私がしていきたい。彼等の側で、彼等を見守っていきたい。


いつかは彼等から離れる日が来るかもしれないけれど、今はまだ、そんなことは考えられない。


彼等のマネージャーは私だ。



「だから、その……」


でも、圭さんには物凄く失礼なことを言っているよね、私⁉︎
まだ付き合い始めて三ヶ月とはいえ、プロポーズをお断りしている訳で……。
ちょっと待って、これがきっかけでフラれたらどうしよう⁉︎ ていうか私の気持ち、伝わってる⁉︎ 変に誤解とかされていない⁉︎

……と、私が慌てふためいていると。


「ぷっ」

正面にいる圭さんが、何故か口元をおさえて吹き出した。
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