社長は今日も私にだけ意地悪。
番外編.圭side
『す、すみません! 余所見をしていてーー』
ずっと憧れていた女の子が突然目の前に現れた。
もちろん今日入社してくることは知っていたが、こんな所でぶつかるとは思わなかった。
『以前、俺と会ったこと覚えてる?』
俺の言葉に、きょとんとした顔で首を傾げる彼女。
さすがに覚えていないか。
最終面接のことですかと聞かれたから、とりあえずそういうことにしておいた。
柳葉 芽衣。
俺は絶対に、この子を自分のものにする。
この子を側において、一緒に夢を叶えていきたいーー流れ星をたくさん生み出したいというのはただの社風なんかじゃない、昔からの俺の夢でもある。
この夢を、芽衣と一緒に追い掛けていきたいんだ。
そしていつかは、
芽衣の目には俺だけを映させたい。
俺の目には芽衣だけを映したい。
俺はいつでも芽衣のことで頭がいっぱいだ。
芽衣のことを、運命の人だと思っているから。
「……さん、圭さん」
心地良い声に反応し、ゆっくりと瞼を開けると、大好きな芽衣が俺の顔を覗き込んでいた。
「起こしてしまい、すみません」
寝ていた?
そうか。せっかく芽衣が家に来てくれていたのに、ソファでうたた寝してしまっていたようだ。
「悪い、芽衣。せっかく久し振りに二人で過ごせていたのに寝てしまって」
「え? いえ、全然いいんです。圭さんがお疲れなのは充分過ぎるくらいに知っていますし、こうして同じ空間にいられるだけで幸せなので。
ただ、夏とは言え薄着でそんな所で寝ていたら風邪をひいてしまうかもしれないと思ったので、声を掛けさせてもらいました」