社長は今日も私にだけ意地悪。


「今日からお世話になります、柳葉 芽衣です。一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします!」

本社の講堂での入社式が終わり、昼過ぎには自分の持ち場であるスターエモーション・マネジメントへ足を運んだ。

スターエモーション・マネジメントは、このオフィスビルの七階から十階のフロアに存在している。
私がこれから毎日足を運ぶことになるのは、七階にある営業部室と呼ばれるこの部屋だ。この部屋にいる社員は約二十名といったところだろうか。


スターエモーショングループは、日本が誇る大手レコード会社。
その為、毎年就職希望者は殺到し、採用もそれなりの数。入社式にも大勢の同期社員が集まっていた。
けれどこの会社に限らず、芸能マネジメントの新卒採用はあまり多くはないらしい。大手企業でも採用するのは十名以下とのこと。
そんな中、今年採用されたのは私一人のみだ。
同期がいないことに不安と寂しさを感じながらも、芸能マネジメントの仕事は私がずっとやりたかったことだ。張り切って頑張らないと!


そんなことを考えながら、深々と下げた頭をゆっくりと上げる。

すると、パチ……パチ……とまばらな拍手が一応返ってくる。

もしかしてあんまり歓迎されてないかなー、と思いながらも気にしないことにした。
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