社長は今日も私にだけ意地悪。
「はい。柳葉さん、よろしくお願いします。君の教育係はそこにいる佐藤 巧(さとう たくみ)くんだ。分からないことがあれば基本的に彼に聞くようにしてくれ」
丸眼鏡を掛けた膨よかな部長がそう言って指差したのは、私と年齢の近そうな茶髪の男性だった。癖っ毛かパーマか分からないけれど、ふわふわとした髪型をしている。
佐藤さんと呼ばれたその男性は、私とは一瞬目を合わせただけですぐに逸らした。何だか機嫌が悪そうに見える。
「柳葉さんにはしばらく、佐藤くんの業務に一緒についてもらい、うちの仕事を覚えていってもらいます」
では解散、という部長の言葉を合図に、社員達が自分のデスクへ戻っていく。
「佐藤さん、よろしくお願いします」
私は佐藤さんの正面に駆け寄り、教育係である彼に改めて挨拶するーーけど。
「あー、面倒臭ぇな」
彼はそう言って、私に背を向けてデスクチェアに腰掛けた。
私はすぐに彼を追い掛け、彼の隣に立つ。
「あの、私の席はどちらでしょうか」
そう尋ねると、彼は自分の席のすぐ左にあるデスクを指差し「ここ」と強めの口調で返した。
「ここですね、ありがとうございます。あの……」
「何だよ」
「座ってもいいでしょうか」
「うぜぇ! 勝手に座れ!」
許可をもらったので、私はデスクチェアをゆっくりと引き、腰をおろす。
あー、ここがこれから私の席になるのかぁ。よろしくね、私専用のデスク。
丸眼鏡を掛けた膨よかな部長がそう言って指差したのは、私と年齢の近そうな茶髪の男性だった。癖っ毛かパーマか分からないけれど、ふわふわとした髪型をしている。
佐藤さんと呼ばれたその男性は、私とは一瞬目を合わせただけですぐに逸らした。何だか機嫌が悪そうに見える。
「柳葉さんにはしばらく、佐藤くんの業務に一緒についてもらい、うちの仕事を覚えていってもらいます」
では解散、という部長の言葉を合図に、社員達が自分のデスクへ戻っていく。
「佐藤さん、よろしくお願いします」
私は佐藤さんの正面に駆け寄り、教育係である彼に改めて挨拶するーーけど。
「あー、面倒臭ぇな」
彼はそう言って、私に背を向けてデスクチェアに腰掛けた。
私はすぐに彼を追い掛け、彼の隣に立つ。
「あの、私の席はどちらでしょうか」
そう尋ねると、彼は自分の席のすぐ左にあるデスクを指差し「ここ」と強めの口調で返した。
「ここですね、ありがとうございます。あの……」
「何だよ」
「座ってもいいでしょうか」
「うぜぇ! 勝手に座れ!」
許可をもらったので、私はデスクチェアをゆっくりと引き、腰をおろす。
あー、ここがこれから私の席になるのかぁ。よろしくね、私専用のデスク。