社長は今日も私にだけ意地悪。
なんと、呟きアプリのタイムライン上でRED searchの曲が流れていたのだった……。


ど、どういうこと?

アップされているのは音声のみで、メンバーの姿は写っていなければ、RED searchというグループ名も載っていない。ただ、音楽ファイルがアップされているだけだ。


「柳葉がアップした訳じゃないよな?」

部長にそう聞かれ、私は
「違います!」
と慌てて答える。


「じゃあ彼等自身か? 自分達の曲とはいえ、SNS上で勝手なことをされると困るんだが……」

「彼等自身でもないと思います。SNSの使い方は日頃から注意していますし、真面目な子達なので、約束を破るようなことはしないはずです」

すると、佐藤さんがマウスと画面を弄りながら私に言う。

「投稿ユーザーのプロフを見ると〝スタジオバイトの大学生〟ってあるけど、柳葉がこの間行った撮影スタジオのスタッフの誰かじゃないのか?」

「なるほど!」

確かに、そのルートからのアップならば納得出来る。

「何にせよ、うちでまだ発表もしていない曲を他人からネット上で勝手に拡散されるのは困る。柳葉、スタジオの関係者に連絡取れるか?」

部長にそう言われ、私は「はい」と答え、すぐに連絡を取り始める。

幸い、そう時間が掛からないうちに事実関係が確認出来た。






動画をアップしたのは、やはりあのスタジオでアルバイトをしている大学生の女の子で、私はその子にはデモCDは渡していないけれど、その子が他のスタッフから借りたCDを自分の携帯に録音し、それをアプリにアップしてしまった、とのことだった。
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