社長は今日も私にだけ意地悪。
何だか落ち着かない様子の部長。
彼から緊張感のようなものが伝わってきて不安になりながら、私は営業部室から連れ出される。
そのまま、エレベーターをあがって十一階へとやって来た。
応接室などが並ぶ十一階は、私が普段行き来することの多いフロアに比べて静かで落ち着いている。
長い廊下を進み、一番奥の部屋の戸を部長が三回ノックする。
そしてゆっくりとドアノブを回し、開いた戸の先には、スーツ姿の見慣れない男性がソファに座っていた。
「わあ。随分若い子なんだね」
私を見るなり、男性は突然そう言った。
だけど不躾な印象は全くなく、柔らかな表情と口調と声色で、どこか安心感さえ抱いた。
年齢は……五十代前半くらいだろうか。スタイルが良く、カッコいい雰囲気のあるお方だった。
「は、初めまして。柳葉 芽衣と申します」
とりあえず、深々と頭を下げて挨拶をする。
すると隣から部長に、
「柳葉。ミュージックインホームっていう番組は知っているな? こちらは、その番組プロデューサーをされている大兼(おおかね)さんだ」
と言われ、私は思わず「えっ!」と驚愕する。
ミュージックインホームといえば、私が幼稚園児の頃から全国ネットのゴールデンタイムで毎週放映している、毎週生放送の音楽番組だ。
毎週何組かのアーティストが登場し、順番に新曲や名曲などを披露していく。
私も昔からミュージックインホームが大好きで、今だって毎週観ている。
そのミュージックインホームのプロデューサーが、私に何か用事……?
彼から緊張感のようなものが伝わってきて不安になりながら、私は営業部室から連れ出される。
そのまま、エレベーターをあがって十一階へとやって来た。
応接室などが並ぶ十一階は、私が普段行き来することの多いフロアに比べて静かで落ち着いている。
長い廊下を進み、一番奥の部屋の戸を部長が三回ノックする。
そしてゆっくりとドアノブを回し、開いた戸の先には、スーツ姿の見慣れない男性がソファに座っていた。
「わあ。随分若い子なんだね」
私を見るなり、男性は突然そう言った。
だけど不躾な印象は全くなく、柔らかな表情と口調と声色で、どこか安心感さえ抱いた。
年齢は……五十代前半くらいだろうか。スタイルが良く、カッコいい雰囲気のあるお方だった。
「は、初めまして。柳葉 芽衣と申します」
とりあえず、深々と頭を下げて挨拶をする。
すると隣から部長に、
「柳葉。ミュージックインホームっていう番組は知っているな? こちらは、その番組プロデューサーをされている大兼(おおかね)さんだ」
と言われ、私は思わず「えっ!」と驚愕する。
ミュージックインホームといえば、私が幼稚園児の頃から全国ネットのゴールデンタイムで毎週放映している、毎週生放送の音楽番組だ。
毎週何組かのアーティストが登場し、順番に新曲や名曲などを披露していく。
私も昔からミュージックインホームが大好きで、今だって毎週観ている。
そのミュージックインホームのプロデューサーが、私に何か用事……?