社長は今日も私にだけ意地悪。
その後、RED searchの彼等にはすぐに仕事内容を示したメッセージを送った。急な決定だったので打ち合わせは後日になりそうだけれど、メッセージには全員すぐに反応してくれた。
分かりやすく喜んでくれた井ノ森さんと木崎さんに対し、白石さんと青野さんは〝騙されてるのでは?〟なんて疑っていたけれど、本物の番組プロデューサーと直接話した旨を伝えたところ、最終的には二人も喜んでくれた。
四人とも、やる気でいてくれている。
ふと、社長の顔が頭をよぎる。
…….この仕事の件、社長に伝えたいな。
伝えたら、どんな顔をして何て言ってくれるだろう。
きっと笑いながら、良かったな、頑張れって言ってくれる。
そう考えたら、早く報告したくて堪らなくなった。
とにかく……会いたい。いつになったら帰ってくるのだろう?
そんなことを考えながら職場のデスクで耽っていると、デスクに置いてあった携帯の画面が光る。
画面に視線を移すと……なんと社長からの新着メッセージが届いていた。
【今晩、会えるか? 今度こそ二人きりで】
その文字を見て、胸がきゅんと疼く。
どうして? 何で出張から帰ってきたばかりの日に、私を誘ってくれたの?
嬉しいけれど、社長が何を考えているのかは全く分からないし、恋人であるはずの秘書の顔も脳裏に浮かぶ。
確かに、社長に対してもう少し頑張ってみようとは思ったものの……彼と二人きりで会うということは、秘書の女性を裏切ることになるのでは……とも思う。
だけど……!
ーーこの仕事のことだけは、直接顔を見て自分の口から伝えたい。
会社で偶然すれ違うのを待っていたら、きっとその間に他の人の口から社長の耳に伝わってしまう。
【大丈夫です】
私はそうメッセージを打ち込んで、社長へ返信した。