キミはずっと、かけがえない人



一緒に住んでいる以上、気まずくなるのは嫌だ。

何より、怖いんだ。

本当はいらないとか、仕方なくとか、好きじゃないって言われるのが…………。



「あ…………」



何で今なんだろう。

何で気づいてしまったんだろう。

気づかないなら気づかないで良かったのに。

イヤ、気づかないままでいたかった。


私は、2度と戻らないはずだった。

だから、今まで1番好きだった相手を、時間をかけて諦めたはずだったのに。

他の人を好きになったりもしたのに。

何で今、ぶり返すの?

最後まで身体を重ねてしまったから、そう思い込んでいるだけ?



「あー、ママがあいちゃん、なかしたー」

「え?私?泣かすようなこと言ってないよ。亜依?」



心配そうに見る美月に、違うよと首を振る。

だけど、ダメだ。

考えれば考えるほど、泣けてくる。

苦しくなる。




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