キミはずっと、かけがえない人
9th*過ぎた時間を埋めたくて



不安ばかりが押し寄せる中、クリスマス当日を迎えた。

出勤する前に「早く帰れよ」と、念を押された。

そんなに言われなくても、私は帰るけど。

用事なくても早く帰るんだから。


だけど、そんな中でも珍客は来るものだ。



「あなたが川崎亜依?」



全身をくまなく見られて、怪訝な顔をされると、デジャブか?と思ってしまう。

何で、会社に来るんだ。

幸い、みんな出払っていて私ともう1人男性がいるだけだけど。



「たいしたことないのね。
けど、みじめよね。自分で婚約者と名乗っているなんて」



は?誰が自ら婚約者だと名乗った?

私が決めた訳じゃないし、言う訳ないじゃん。

この人も、何を言ってんだ。

しかも、たいしたことないって言うわりに、前回と比べればこの人だって落ちる。

正直、ただケバいだけだ。

美人ではなくて、厚化粧なだけ。

香水もキツい。




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