キミはずっと、かけがえない人
私は、相手にしたくなくて黙っている。
それを見て、ショックを受けていると思ったみたいで、彼女はニヤけている。
1人で優越感に浸っているようだ。
別に、勝手にしてと思う。
「でも、可哀想だから結婚式には呼んであげるわ。私と佑哉くんを祝福してね」
「誰と誰が結婚するんだって?」
急に、ここにいる人じゃない声がした。
それは、社内の人間でもなかった。
彼女の後ろを見ると、なんとじいさまがいた。
そしてもう1人、見知らぬ男性が立っている。
「パパ?何でここにいるの?会長までどうして……」
見知らぬ男性は彼女の父親、つまり専務らしい。
険しい表情をしている。
彼女も、あきらかに表情が変わり、少し狼狽えているように見える。
「あんたは一体、ここで何をしているんだ?」
低く鋭いじいさまの声が飛ぶ。