キミはずっと、かけがえない人
2nd*強制的な同棲
土曜日にお見合いがあり、日曜日はゆっくり休み、月曜日になるとまた一週間が始まる。
いつも通り始まると、お見合いなんか遠い昔のことだったように思う。
まるで夢だったんじゃないかって。
だって、一般人が大手の湖陵の会長と話したなんて、ありえないんじゃないか。
もう、話したくも逢いたくもないけど。
そんな風に思っていたけど、あの人はすぐに行動する人だった。
「お疲れ様でーす」
何事もなく、仕事を終えて会社を出る。
すると、待ってましたとばかりに黒服の人に囲まれた。
「え?なっ、なに?」
「川崎亜依さん、ですね?」
「そうですけど……」
人の名前を確認して頷くなり、私の両腕を捕まえて歩き出す。
「ちょっ、ちょっと。どこへ行くんですかっ」
ズルズルと引きずられるようにして、車に乗せられる。