キミはずっと、かけがえない人
「この先のことは、また今度。引き継ぎのこともあるだろうし、すぐ辞めろとは言わないから」
この人、何も言わなくても考えていることが分かるらしい。
ただ、単純に私が分かりやすいだけだろうか。
「亜依だけを見てるからね。何を考えているのか、すぐ分かる」
「……やっぱり、キミは変わったね」
「どこが?」
「そんな真っ直ぐすぎる言葉、聞いたことなかった。出掛けた時だって、あんなに堂々と手を繋ぐことなんてなかったのに」
「まぁ、年をとったからね。恥ずかしいからって、やりたいことやらないと後悔するから」
その言い分は正しいな。
私も、いっぱい後悔したから。
「だから、恥ずかしがるのもいいけど、とりあえず名前を呼んで」
それは、今でも気にしてたんだ。
今もずっとキミで通してた。
でも、正式な夫婦となる。
いつまでも、それではダメだろう。
「………………佑哉くん」