キミはずっと、かけがえない人
「初めまして。湖陵佑哉と申します。妻がお世話になっております」
「いえ、こちらこそお世話になっております」
「このたびは、おめでとうございます」
「ありがとうございます。ただ、みなさまにはご迷惑をおかけすることになってしまいましたが……」
「おめでたいことなので、気にしないで下さい」
そんな会話を聞いていると、改めて変わったなと思った。
イヤ、場慣れしたというのか。
それとも、上に立つ自覚を持ったということかな。
でも、こういう場で旦那とか妻とか言われると、本当に結婚したんだなって思う。
式もまだだし、会社で苗字を変えた訳じゃないから、あまり実感がなかった。
結婚して一緒に住み始めた訳でもないし。
「亜依、帰ろうか。大丈夫?」
「あ、うん。じゃあ、お疲れさまでした」
「お疲れー。また明日」
「お疲れさまー」
社員さんにお辞儀して、お先に失礼した。