彼と愛のレベル上げ
賽(サイ)は投げられた
金曜日の夜、約束通りに帰ってきた主任。

今は東京に住んでいるのだから帰ってきたって言う言葉が正しいかどうかは疑問だけど。

主任に会ってしまえば不安な気持ちはだいぶ遠のく。

それでもずっと主任のぬくもりを感じて居たくて、寝るときに手を繋いで欲しいなんて言うリクエストまで自分からした。


「手だけでいいんですか?」


なんて意地悪そうに聞く主任に大きく頷いた私。


だってそれ以上なんてしたらまた明日起きられなく……


「モモ、顔が赤いですけど?」

「え?!あ、あのなんでもないですっ。明日は朔也さんの所にランチに行くんですよね?早く寝ないと」

「何そんなに慌ててるんですか?顔が赤いって言っただけですよ?」


ニヤニヤしながら覗き込む主任。

だからっ
そうやってみるからどんどん赤くなるんですってば


「もうっいいから寝ますよ?」


そう言ってから布団ですっぽり顔まで覆って寝る体制になる。


「モモ?そっち向いたら手が繋げないですよ?」


そう、なんだけどっ

意地悪ばかり言う主任はまだ言い足りなそうだから……


そっと顔の布団をめくる主任。


「手、だけですからっ」


主任を軽く睨んでそう言うと


「お休みのキスぐらいいいでしょう?」


そう言って主任は私の尖らせた唇に優しく口付けた。

手を繋いでもらったら私はいつの間にか寝てしまっていた。




そして土曜日の朝。

早起きするつもりだった私はアラームをセットしていたはずだった。

でも、起きてみるとすでにアラームでセットしたはずの時間はとうに過ぎて十時過ぎ。

慌てて飛び起きて、手ぐしで髪を整えてとりあえずリビングへ。


「あのっ私、また寝坊……」

「おはよう、モモ」

「おはようございます…」

「アラームはすぐに止めておきましたから」


え。
それアラームの意味ない。


「朔也の所には十分間に合いますから大丈夫です」

「でもっ」

「カフェオレ淹れておきますから着替えておいで」

「…はい」


早く起きられなかった事怒んないし。
主任って怒ることなんてあるのかな
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