彼と愛のレベル上げ
ニヤニヤして。
またよからぬ事考えてるでしょう?


「もうっ、からかわないでくださいっ」

「からかってませんよ?最近のモモはこちらもドキッとさせられますから」

「え?」

「だから、ずっと閉じ込めておきたいぐらいなんですけどねぇ?」


ニヤっと笑ってそう言う主任。

ほらまたそうやってすぐにからかう。


「もうっ、いいから早く帰りますよ」

「はいはい」


笑いながら主任は車をスタートさせた。




     *****




一度家によっていただいたワインをしまったあと、主任が手早く富貴子さんにメールを入れた。そして可愛い絵文字付きですぐに返信が来たといって見せてくれた。


『ケーキ待ってます♪ヽ(´▽`)/』


「いったい、いくつの人のメールかと疑われますね、これは」


苦笑いの主任。
私もあまり絵文字とか顔文字は使わないから、その女の子らしいメールに微笑んでしまう。


「可愛らしくていいじゃないですか」

「メール自体は可愛いですけど、これを入力してる本人を知ってますからねぇ」

「だから、いいんじゃないですか。いつまでもこうやって若々しく居てくれて」

「まぁ考え方によってはそうですね」


そして主任は携帯をポケットにしまうと「行きますよ」と言って手を繋いできた。


あーやっぱり今日も手繋ぐんですね?
いや、普通の時はいいけど、身内の前では……


「あーあのっ」

「手は繋いだままですからね?」


…やっぱり、わざとですか。

手を繋ぐって言うのは主任の中ではデフォルトで、これ以外はありえないらしい。

仕方なく手をひかれたままお婆様の家に向かった。


富貴子さんに迎え入れられてリビングに通されると、そこにはお母さんと蜜柑子おばさん。


「こんにちは」

「みんなで作って食べた後お茶を飲みながらケーキはどこのかしらねって話してたのよ?」


お母さん。
それって私じゃなくて、やっぱりケーキを楽しみにしてたってことだよね?

ケーキの箱を富貴子さんに渡す主任。


「あ、私。お茶淹れますね」


そう言って富貴子さんについてキッチンに向かった。
いつものように富貴子さんがカップを選んでくれたあとお茶をいれる。


私が何も知らずにお茶の準備をしている間にリビングにその時が迫っていた。
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