彼と愛のレベル上げ
「モモ、」
「は、はいっ」
ほっとしていたところを急に呼びかけられて慌てて返事をする。
「富貴子さんがおみやげをくれました」
主任の手には紙袋が握られていて、その中にはたくさんのお惣菜が入っていた。きっと今日三人で作って食べた物も入ってるに違いない。
「え?あ、はい。ありがとうございます」
いつの間にそこまで準備しておいてくれたのか。
私が感心しているとお婆様は、
「あなたたち、ずっと手を繋いでいるのだもの。…それがあればもうでかけなくてもいいでしょう?」
そんな風に言われて恥ずかしくないわけがない。
だから、手は嫌って言ったのに。
「え、いや、あの……
「いいのよ?たまにしか会えないんだから、仕方がないわよね?あ、入れ物は今度のお料理会の時に持ってきてくれたらいいから」
ともかく恥ずかしかったけど、早く二人っきりにさせてくれようとするお婆様の気持ちは嬉しい。
それに私たちは甘える事にして、ありがたくいただいてマンションに帰った。
*****
家に戻ってきて、ソファーに座るとすぐに主任は
「モモ、さっきの話ですが」
さっきの話……?
「相良さんとご飯に行く話ですが」
と、言いなおす主任。
あれってほんとにほんとの話?
「まだ、こちらからお礼もきちんとしてませんし、普段からモモはだいぶ世話になってるようですしね?」
だいぶ世話になっている……そう言われて焦る私。
確かにお世話にはなっている。
でも、それは最近生活に色々と変化があったから。
だから、
「あ、あの。別に子供の頃からずっとそういうわけじゃないですよ?」
あぁ、こんな言い方をしたら言い訳をしているようにしか聞こえないのに。
「それに、モモは相良さんの事大分信用しているみたいですしね?」
え?
なにそれ?
どういう意味?
「あの?それって……」
「あぁすみません、つい彼が羨ましいもので」
羨ましい?
前もそんな事主任は言ってたけど、そんな主任が羨むようなことなんてないのに。
「それに―――
相良さんと、なんかありましたよね?」
「……っ、」
ズバリ言い当てられて何も言えない私。