彼と愛のレベル上げ
私が一瞬顔を曇らせたのを敏感に察知したのかお婆様は話を変えるように言う。


「まぁともかく、お買物は行きましょうね」

「はいっ」


それから、お茶の片づけをして家に戻ってきた。





仕事から帰ってきて毎日お婆様の所に直行するから家にいる時間はどんどん短くなる。

きちんとご飯を頂くのも一緒にお話しするのも楽しいけれど、お風呂にゆっくり入る時間も最近では削られている。

お風呂の中でリラックスしながら考えるのって結構好きなんだけどな。



急いでお湯を張り、お風呂につかる。

十一月にはいってから急に寒くなってきた気がする。

前に主任と一緒に行った温泉とか、また行きたいなぁ


「ふぅー。やっぱりお風呂はこうじゃなくちゃ……」


とはいえ、すぐに行けるもんじゃない。

そこでお気に入りのバスオイル。
奮発して、ボディライン一式。ボディソープとボディローションもそろえた。


今まではバスオイルだけしか使ってなかったけど、ここに住むようになってから今まで見えないからと手をぬいていた所も気になりだしてきた。


髪の柔らかさとか。
肌もしっとりとしているかとか。

なんというかこれは……

主任に触れてもらいたいから


触って欲しいとか
キスして欲しいとか


最近こんなことばかり思う。


どうしたんだろう、私。


お湯の中でむくんだ足をマッサージしながら


少しでも大人っぽく
主任の隣に並んで見劣りしないような大人の女性に
そんな願いを込めてマッサージしていく


もちろん自分の体なんだから自分のためなんだけど、すべて最後に行きつくところの答えは主任に似合うようになりたいから。


でも―――


見た目ばかりじゃなくて他にももっと覚えなきゃいけない事あるよね?



結婚。が本当の話なら、花嫁修業っていうのお料理だけじゃダメだよね


お茶とかお花とか?


あぁ今時の花嫁修業ってそういうのじゃないのかな?

明日望亜奈さんにも聞いてみよう。


久しぶりにゆっくりとお風呂でリラックスできた私は、気持が穏やかになったからか眠くなってきてしまい、そのままベッドに倒れこむようにして就寝した。
< 143 / 240 >

この作品をシェア

pagetop