彼と愛のレベル上げ
ランチをおいしそうに食べながら、望亜奈さんは


「準備も何もあったもんじゃないわよ、あんなの勢いよ勢い」

「勢い、ですか?」

「決まる時は一気にいくもんよ、むしろそれに乗っておいた方がいいわよ」


勢いに乗る?


「望亜奈さん?いま花嫁修業の話をね?」


してましたよね?私。
なのになんで勢いで結婚しちゃえみたいな話になっちゃってるの?


「そんなのね。桃ちゃんがお料理が出来ようができまいが主任は関係ないのよ」

「え、それじゃ意味が」

「どうしてもするっていうなら料理何でもできるようにしておいたら?朔也さんのは基本イタリアンだけだしね」

「あ、和食なら、主任のお婆様に習ってるんです」

「は?!何それ。いつの間に?」


私はお婆様と一緒に御夕飯を食べている事を話した。

驚いてたけど、近所に住んでるし、すごく優しくていい人だと言うと望亜奈さんは、


「なら安心ね、それよりさ。結婚したら東京に住むのよね?大丈夫迷子にならない?」


東京に住む?


「いやいや、望亜奈さん。ご挨拶をとりあえずするだけで」

「だからさっきも言ったけど、そこまでしたらすぐにウエディングベルよ」


気が早いと思うんですけどね?

それに私、八月にここに引っ越したばかりですよ?

仕事だってあるし、そう簡単には色々決まらないと思う。


「まだ先の話しですってば」

「そう?経験者は語るよ。あれって自分だけでは止められないんだから。渦の中に巻き込まれる感じ?ましてや主任じゃね。とんでもない大渦だと思うわよ」


大渦って。そんな大げさな。


「大丈夫っていう言い方も変ですけど。そんな簡単な話じゃないですって」

「桃ちゃんが巻き込まれる覚悟なら別にいいのよ?私は」」


まだ言ってる。


「それより桃ちゃん。相良さんの件はどうなったの?」

「え?潤にぃ。ですか?」

「うん、あれから会った?」


あ。そういえばお婆様の家で会った事言ってない。


「ちょっと顔会わせましたけど、他に人もいたので」

「じゃあ来週か。」

「でも迎えに来るかどうかもわからないですよ?」

「いや、くるでしょ。相良さんだもの」


気まずいし、来ないで欲しいのが本音。
さすがに望亜奈さんにもそれは言えない。
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