彼と愛のレベル上げ
恋する気持ちじゃダメですか?
十二月に入って、街もすっかりクリスマスモード。

私はと言うと……

キャンペーンが始まり大忙し。

店舗のお手伝いにも借りだされ、営業からの書類も回ってくる。

おかげでお婆様とのお夕飯の時間も朔也さんのお料理教室もお預け。

今月はクリスマスメニューをするって聞いていただけにショックも大きい。


「望亜奈さ~ん……」

「なにその悲愴な声は」

「だって……」

「朔也さんにはきちんと伝えておくし、レシピも桃ちゃんの分もきちんといただいてくるから」

「ありがとう、ございます……」



うう…。
望亜奈さんは店舗のカウンター担当のバイトだからほぼ時間通りに帰れるけど、私は一応正社員。

繁忙期は両方をこなすために時間内で終われる事はあまりない。

遊んでる人なんて一人もいないし、私も頑張らないといけないのはわかるんだけど、心の余裕は欲しい。

主任の下についていた時はわからなかったけれど、担当営業が変わったら圧倒的に仕事量が増えた。

担当営業の受け持ち店舗は減っているのにもかかわらず、だ。

ってことは……今までどれだけ主任がたくさんの仕事をこなしていたかってことになる。

六月のキャンペーンの時には夢中で見えなかった事も、十二月の今、身をもって強く感じている。

いなくなって半年経っても、いや半年たったからこそ余計なのかもしれない。




     *****



残業を終え、コンビニでご飯を買って家に帰ってきた。

毎日お婆様と一緒に作ったご飯を食べていた私はコンビニ弁当の味に今では違和感さえ覚えていた。

――こういう時こそ、おいしいご飯食べたいな

主任も本社で忙しくしているんだろうな。疲れて帰ってきて、それで私がご飯を作ってあげて……


忙しいときほど会いたくなる。

一目でも会えれば疲れも吹き飛ぶような気がする。


一目なんて無理なのはわかってる。


それに忙しい主任に電話をする事さえ躊躇する。

私でさえこの時間なんだから主任はまだ家にも帰ってないかもしれない。

十二月に会いに行きたいなんて言ったけど、気持ちは今すぐにでも会いたいけど。

実際は……年末になればなるほど忙しくなる。
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