彼と愛のレベル上げ
「相良さん、迎えに来てたけど。言わなかったの?」
「え?潤にぃ来てたんですか?」
確かに行かないって言わなかったけど、あんなことの後だし。
それに迎えに行ってたこともメールも来てなかったし。
「うん、桃ちゃん今日はお休みだよって言ったらすぐに帰っちゃって。仕事が忙しいとか言えなかったんだけど、大丈夫?」
大丈夫っていうか、どうなんだろ。
今までの潤兄だったら電話してきて「何でいないんだよ」って文句の一つも言うのに。
「あーそうなんですね。夜にでもメールで謝っておきます」
潤兄には電車に乗ってからメールすればいいよね、なんて頭の中で考える。
なんか望亜奈さんに迷惑をかけちゃったみたいで申し訳ない。
「うん、そうしたほうがいいよ」
潤兄のことになると望亜奈さんは、特に気にする。
個人的にも仲良くなってるから連絡は取れるみたいだし、望亜奈さんの彼とも潤兄は仲良しだって言ってた。
「望亜奈さん、色々すみません。ありがとうございます」
「いえいえ、今日は?主任のとこ行くの?」
「はい、一応そのつもりで仕事進めてます」
この日のために頑張ってきたんだもん。
今週末行けないと、主任と会うのは年末までお預けになる。
それはさすがに私が無理。
「そっか、楽しんできてね」
「はいっ」
休憩時間もあと少しになったので私は席に戻った。
レシピももらったし、あとは残りの仕事を終わらせれば………
私の心はもう、すでに東京に向かっていた。
*****
もうすぐ六時半。
さすがに定時には終われなかったけど、七時過ぎには帰れそう。
家に帰って荷物を取っても八時の電車には乗れそうだ。
残りの書類をまとめていると、
「天ケ瀬さん、お客様です」
店舗スタッフの人から声をかけられた。
「え?私に?」
「はい、男性の方で相良さんとおっしゃる方です」
潤兄が?何でここに?
書類をそのままにして私は慌ててお店の方へ向かった