彼と愛のレベル上げ
「……いつもジュンさんはなんでも一人で決めて、私はいつも取り残されて」
私には何も相談できない?
頼りないかもしれないけど、でも二人の事なのに
悲しいというよりも悔しい。
「モモ、」
唇をきゅっと結んで、次の言葉を続ける。
「二人の事だから一緒に考えたいって思うのは間違ってますか?」
私がジュンさんに意見するなんてどうかと思ったけど、それでもこれだけは譲れない。
「ジュンさんあの時、一緒に考えようって言ってくれたじゃないですか。迷ったら、悩んだら、一緒に考えようって……」
言ってくれたのに。
いつまでも守られるだけは嫌。
私だけジュンさんのお荷物になりたくないから。
するとジュンさんはハッとしたようになって
「……そんなつもりじゃなかったんですけどね」
ジュンさんは一度眼を伏せた後、メガネの位置を直すとまっすぐこちらを射抜くように見てきた。
絶対に目を伏せない。
私だってこれだけは譲れない。
「考える時間を与えたら、モモの気持ちが揺れると思ったんです」
気持ちが揺れる?
私はジュンさんの家に住んでいる間、ジュンさんへの気持ちを温めてきた。
確かに恋だけではないと思える気持ちに育ってきたと思う。
それは冷静に考える時間があったから。
「ジュンさん…?」
離れてて寂しいのは私だけじゃなくて
『一分でも一秒でも長く一緒にいたい』そう言ってくれたのも本当で
離れている時も会いたいと思ってくれてる?
「揺れません!ジュンさんしか見えてませんからっ」
その声の強さに驚いたように目を見開いたジュンさん。
うわ、いっちゃった。
なんかこれ告白っぽかった?
でも、ほんとの事だし。
「だからっ……」
「余裕なんてないですけどね、モモがそう言ってくれるなら彼とも仲良くなるように努力しますよ」
あぁそっち?
潤兄とジュンさんには仲良くして欲しいけど。
それより、プロポーズされてない事の方が気になってたんだけどな
えと?それで、結婚。
ほんとにするつもりなんだよね?
そろそろ潤兄との待ち合わせの時間。
私の態度で気づいたジュンさんが、ちらりと時計を確認した。
そして「そろそろ向かいますか」といって席を立った。