彼と愛のレベル上げ
この気持ちに気付いたときは
ウトウトしては目が覚める。そんな事を繰り返しているうちにいつの間にか朝になった。

自室のベッドから起きると、昨日の出来事が頭の中に一気に押し寄せてきた。

あんなに泣いたけどそのあとでお風呂に入ったせいか思ったよりも目ははれていなかった。


お湯を沸かしハーブティを淹れる。

朝ご飯は……食べる気にはならない。

そしてのろのろと準備を終えると事務所に向かった。



     *****


「桃ちゃん、おはよー」


着替えている途中で、珍しく早番の望亜奈さんに声をかけられた。


「おはようございます、望亜奈さん」


普通にしたつもりだけど心なしか声の感じが暗い。

ダメダメ。こんなんじゃ望亜奈さんに心配かけちゃう。


「桃ちゃん、今日ランチ一緒しよ」

「あー…はい」


食べられそうにないけど、ランチ……

けれどすぐに望亜奈さんは店舗の方へといってしまった。

私も早く着替えないと。


ダメだよ、仕事は仕事。
しっかりしないと。

鏡の中の自分に言い聞かせて、髪をクリップで止め気合をいれた。




     *****




「昨日飲み過ぎちゃって、今日はあそこでいい?」


飲み過ぎた次の日のランチに行くお約束のお粥やに向かいながら望亜奈さんは「楽しい週末を過ごせた?」なんて笑顔で聞いてくる。

ジュンさんと一緒に居る間は幸せだったし、まさに楽しい週末でしたよ?

でもね……


「あー色々ありまして……」

「ランチ時間中に終わるように簡潔にお願いしますよっと」


少し茶化し気味に言う望亜奈さん。きっと私が言いやすいような雰囲気にしてくれてる。



急に潤兄が一緒に東京まで行った事。…そしてジュンさんと対峙した事。

そんな中で恋のその先の気持ちを見つけた事。

順を追って話していった。


「相良さんも強硬手段過ぎるでしょ……」


『強硬手段』

望亜奈さんのその言葉に昨日の出来事がよみがえってきた。


マンションでの“あの事”は、まだ話せていない。


「あの……それで。潤にぃが変な事言いだしてきて」

「変な事?」


一瞬眉間にしわを寄せ、綺麗な顔をゆがませる望亜奈さん
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