彼と愛のレベル上げ
望亜奈さんも責任持つって言ってくれてるし。

ええい、もう今日は飲んじゃえ。

だって四人で飲むのなんてそうない事だし明日休みだし。


握っていたグラスをあけ「おかわりっ」と言うと、隣に居た望亜奈さんは手際よくあとから来た二人分の食べ物も一緒に注文した。


そして四杯目の梅酒を飲もうとしていると、そのグラスをヒョイと持ち上げられた。

そのグラスの行方を見ていると、そのままそれは潤兄のおなかの中にすべておさめられた。


「ちょっ、潤にぃっ。…それっ、私のっ」

「桃、飲み過ぎ…」

「なんでよ、望亜奈さんおかわりぃい」


はいはいなんて言って店員さんを呼ぶ。

けれどオーダーを聞きにきた店員さんに潤兄は「ビール追加三つと温かいウーロン茶一つ」とすばやく注文した。


「あ、それと――」
「以上で、すぐ持ってきてね」


私の言葉をさえぎった潤兄は、営業スマイルで微笑んで店員さんを追い返す。


「まだ、飲めるよっ」

「もう充分だろ?前に二日酔いになったの忘れたのか?」

「あれはっ、」


おいしいお酒だったらあんな風にはならないって。

あの時はともかくやみくもに飲んだし味なんて覚えてない。

だけど今は望亜奈さんもいるし、お酒もおいしいって思えるんだけど。


言葉に詰まっているうちに飲み物が届けられ、三人はまた乾杯をしておいしそうに喉を鳴らした。

仕方なく自分の前に置かれたお茶を飲む。


「相良さんもさ、桃ちゃんに対して過保護よねー?」


望亜奈さんのその言葉にピクリと片眉をあげた潤兄。

たぶん、“も”って言葉に潤兄は反応したんだ。

望亜奈さんは二人とも似てるってよく言ってた。

だからこの言葉が出たんだろうけど、今は特に……禁句のような気がする。


「いつまでも桃ちゃんはちっちゃい女の子じゃないわよ?立派な女子なんだから。確かにみかけはまだまだ可愛らしいけどね」


なんて、望亜奈さんは茶化す言葉も忘れずにつける。


「子供じゃないとかそういう事じゃないんだよ、桃の事は俺がよく知ってんだよ」

「そりゃねー?子供の頃は知ってたかもしれないけどね?」

「…なんだよ、それ」


望亜奈さん。もうちょっと言葉選んでっ
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