彼と愛のレベル上げ


「だいたいさ、自分の気持ちも言わないまま急に態度で気持ちを押しつけるのはどうなの?」


急に本題へと話しは進む。

最初からここで私と潤兄を会わせるつもりだったんだ。

電話さえ返してもらえば私はそれでよかったんだけど…


「は?」


だけど潤兄は、すっかり望亜奈さんの言葉に熱くなってる。

声に怒気さえ含んでる。

そんな潤兄にも怯むことなく望亜奈さんは続けた。


「相良さんが桃ちゃんのこと可愛がってるのもわかるし、手放したくないのもわかるけど、桃ちゃんの意思は?」


望亜奈さんはさらに言葉を続ける。

出来たらその辺で、終わりにしないと潤兄が……


「…そんなの。波崎に関係ない」


低い声で絞り出すように言う潤兄。

「波崎」潤兄は望亜奈さんの事を名字で呼ぶ。

男友達みたいな感じだからって言ってた。

でも今のその呼び方は、お前には関係ないと言い捨ててるみたいなニュアンスだった。


「そうよ?私には関係ない事よね?だけど、相良さんもすでにもう部外者なのよ」

「……っ、」



部外者。そう言われて、唇をきつく噛み下を向く潤兄。

望亜奈さんもきつい事を言ってるんだけど、今度は諭すように


「桃ちゃんと主任はお互いを想いあってるの。離れている二人を応援はしても、邪魔する事はしちゃいけないんじゃないのかな?」

「邪魔?!俺がいつ邪魔したよっ」

「邪魔じゃなかったら何?桃ちゃんの心かき回して、傷つけてるのが自分だって気付いてないの?」

「俺がいつ…?」


ハッとなって口を閉ざした潤兄。


「もあ?言葉が過ぎるよ?」


彼に指摘され、すぐに謝る望亜奈さん。


「…ごめん。言い方悪かった。……でもっ、元通りじゃなくてもいいから仲直りだけはして」

「え、」


望亜奈さんの言葉に驚く。元通りじゃなくていいから?


「私は、二人の事好きだから今のままでなんていて欲しくない」

「……望亜奈さん」

「あー私もちょっと酔ったかなぁ?ごめ、ちょっとお手洗い行ってくる」


望亜奈さんが部屋を出ていった後、すぐに彼もあとを追った。

―――そして部屋に残されたのは潤兄と私。
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