彼と愛のレベル上げ
「さーて、飲み直し、飲み直し♪」
「あーじゃあ俺がワイン奢るわ」
突然言い出す潤兄。
「え?」
「ほら、あれだろ?波崎と濱野の婚約祝い?」
「え?!何それっ」
「何、桃。聞いてねーの?」
っていうか、え?!
「あぁまぁそういう事に……」といって見せてくれた左手には婚約指輪。
「それ、いつから?」
だって、さっきまでしてなかったのに。
何それ、私だってお祝いしたい!
こんなにもお世話になってるのに!!
私が騒いでいる間にいつの間にオーダーしたのかシャンパンが運ばれてきた。
「お祝いっつったら、こっちだろ?」
「これなら桃ちゃんも飲めるしね?」
「じゃ、二人の婚約を祝して……
「「「「かんぱ~い♪」」」」
「…これ何度めの乾杯でしたっけ?」
「いいのよ、飲んでる時は何度乾杯しても♪」
「…ていうか、望亜奈さんっおめでとうございますっ!」
やっとお祝いの言葉が言えた。
「ありがとっ、次は桃ちゃんね?」
「え、っと、あああああ。そうだ。濱野さんっ、ちょっと質問していいですか?」
「え?あ、どうぞ?」
少し驚いたような顔をしたけど、すぐに穏やかな微笑みを浮かべてくれた濱野さん。
「プロポーズの言葉は?」
興奮した私は乗り出すようにして濱野さんに質問する。
「えー…言っていいのかな?もあ?」
望亜奈さんに了解を取ってる。
なんだかその見つめあうしぐさがなんとも幸せそう。
「お婆ちゃんになったもあが見たい……」
照れながらそう言う濱野さん。
は?!私はプロポーズの言葉を聞いたんですけど?
「あ、あの…?」
「ほら、ね?桃ちゃんには通じてないわよ?」
「ハハハ、そりゃいいな、濱野」
「だからね?それぐらい長い時間一緒に居たいって意味らしいのよ?」
文句だろうか、仕方ないんだからとも言いたげだけどやっぱり嬉しそうな望亜奈さん。
もしも濱野さんが私の彼だったらきっと私は一生それがプロポーズだとはわからない……
「あ、あれ?ダメ?だったかな?」
濱野さんはすっかりうろたえてる。
ダメじゃない、そんなプロポーズの言葉もよく考えれば心にじんわりとしみてくる。