彼と愛のレベル上げ
プロポーズの言葉は
今日は仕事納めの日。


それは本社も一緒で、ジュンさんが帰ってくると言ってくれた二十八日。

営業は年最後の巡回でほぼ一日中外回り。

私の仕事は午前中で終えて午後は書類の整理やカウンタ業務のヘルプで一日を終えた。

どこの会社もそうなのかは分からないけれど、うちの事務所は年末の最後の日は忘年会と言う名の飲み会がある。

強制参加じゃないけれど、まぁ一応全員参加が基本。


「天ケ瀬さん、お疲れ様」

「おつかれさまです、部長」


普段あまり直接かかわらない上司や部署の人とも話ができるのは魅力。

私がビールを飲めないとわかっているみんなは、最近ではお酒を無理に勧める事はない。

ビール瓶を持ってお酌して回るだけで許されるからすごく楽。

部長にビールを注いで隣の営業にも注ぎ終えると、


「天ケ瀬さん、鈴木はどう?」


どうって…?

同期だし、関係はうまくやってると思う。

だけど、部長のいうどう?っていうのは…?


「堂地君から変わって、鈴木君になったからどうなのかと、ね?」

「…あ、えーと。はい……」


何これ。どうっていうか、比べたらそれはもちろん前の方が断然楽だったけど


「自分がいかにまだまだ未熟だったのかよくわかりました」

「ほぅ…それは?」


ジュンさんが仕事の楽しさと難しさを教えてくれた。


「主任には私が営業補佐として何をすればいいかを色々教えていただきました。なので実際大変にはなりましたけど、それでもやりがいを感じてます」

「なるほど……堂地君は部下を育てるのもうまいもんだね」


そう言って笑う部長。

育っているかどうかは別として、教えられたことはたくさんある。

主任は営業に推してくれたけど、補佐としての仕事を選んだのは私。


「十月のレポートもよく書けてたよ」

「……ありがとうございます」

「まぁあれはこちらよりも本社の方の評価の方が高かったみたいだけどな?」


本社での評価?

本社での勉強会についてのレポートなんだから向こうの人たちも見るのも普通なのかもしれないけど、でもあれって……

ジュンさんに添削してもらってから提出したんだよね。

だから全くの自分のモノって言うのではないんだけどな。
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