彼と愛のレベル上げ
食事を終えてコーヒーを持ってジュンさんと二人で私の部屋に上がってきた。

そこにお母さんが入ってきて、「じゃ、これ後はよろしくね桃華ちゃん」

来客用の布団セットを置いて行った。

客間じゃないの?ジュンさんの寝る場所?


「お母さん?ジュンさんのお布団。ここに敷くの?」

「あら、当然でしょ?あ、でもお風呂は別々に入ってね?一緒に入ってたらお父さん卒倒しちゃうから」

「はい、わかりました」


わかりましたじゃなくてね?ジュンさん?

そんな受け答えしたら、まるでいつも一緒に入ってるみたいじゃないですかっ


「お母さん?!一緒になんて――」
「あ、呼んでるから戻るわね?お父さん、今日は嬉しかったみたいで飲み過ぎなのよね。堂地さん、本当にありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ。色々な話ができて楽しかったです」

「そう?じゃあお風呂の準備できたらまた声かけるわね?」

「はい、お手数おかけします」


お母さん、私の話し全然聞いてくれない。
ジュンさんの話は、きちんと聞くのに。

私がちょっとやさぐれているとジュンさんは「本当に良いご両親ですね」と優しい顔で言った。


「そうですね。でもお母さんが専業主婦だった理由。初めて聞きました」

「閉じ込めておくっていうアレですか?」


そう。まさかお父さんにそんな激しい感情があったなんて思いもしなかった。

それにジュンさんも激しく同意してた。

ジュンさんが心配性だってことは今までの事で十分わかってる。

だけど閉じ込めて~はさすがにしないだろうとおもう。


「穏やかなお父さんがって思うと意外でした。でも考えてみたら結婚した当初は若かったわけで。今の私と同じぐらいの年齢でって思ったらそうなのかなぁって」

「まぁ、男はいくつになっても自分のモノは一人で愛でたいものですよ」


だから、その愛でるって表現妙に淫靡な響きが…


「ジュンさんも、ですか?」

「ええ、家に閉じ込めて鍵をかけて、それで――」
「もっ、いいですからっ」


このまま続けたら何を言われるのかわからない。
だから私は慌ててジュンさんの言葉を止めた。

そこでお母さんからお風呂に入るように呼ばれジュンさんは下に降りていった。
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