彼と愛のレベル上げ
次の日の朝、ご飯を食べてジュンさんは一人で家に帰った。


「桃華ちゃんも帰ってもよかったのよ?」

「ん、でも。」


初日の出を見てお参りに一緒に約束はした。

だから今は両親と一緒に過ごしなさいと。


「いいだろう?堂地君とはこの先ずっと一緒にいられるんだから」


うん、お父さんその通りです。
ジュンさんも全く同じ事言ってました。


「そうだけど…ほら、普段遠距離じゃない?だからね?」


遠距離で寂しい思いをしているのを知っているお母さん。

こういう所にいつも私は甘えてた。

だから……


「大丈夫だよ、お母さん。また今年も日の出見に行くから」



     *****



夕方になって蜜柑子おばさんと潤兄がたくさんのお酒を抱えてきた。

お料理はもちろんお母さんが朝からずっと作っていた。

年越し宴会用とおせち料理。

来年の今頃は私はどこで過ごしているんだろう?

結婚が現実のものとして目の前に現れたけど、ジュンさんのご両親へのご挨拶も具体的な日にちも決まったわけではない。


「なんだ。桃、居たのか」


居たのかって……年末なんだから実家に帰ってくるでしょう?


「当たり前でしょう?」

「なんだ、アイツまだ帰ってきてねーの?」


片眉をあげ、アイツとかいう潤兄はまだジュンさんの事……


「帰ってきてるしっ、今朝まで家に居たんだからっ」

「ふぅーん」


いや、ふぅーんって。
何しに来たの?とか聞かれても困るけど、これはこれで反応しづらい。


「あ、今年は私もお料理手伝ってるからね?」

「まじで?それ食えんの?」

「ちょっとっ潤兄。私だって――」
「ま、少しぐらいまともになんないとアイツに捨てられるぞ」


捨てられ……
ほんとにそうだよね。潤兄の言うとおり。


「潤季ちゃん、いらっしゃい」

「今年もお邪魔します」


潤兄はニッコリ微笑んでお母さんにお酒を渡してた。

外面だけはいいから、お母さんの前では嫌な顔なんてしないんだよね。

この前会ってからまだ二週間しか経ってないのに、私にもこうして普通に接してくれる潤兄。


…ありがとう。潤兄。
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