彼と愛のレベル上げ
夜は更けてもうすぐ年越しの時間。

あいかわらずお父さんとおばさんはお酒を飲み続けてる。

お母さんと私は宴会の後片付け。そこに潤兄が声をかけてきた。


「桃、コーヒー淹れて」

「はいはい。少々お待ちください」

「ここはいいから、潤季ちゃんのやってあげて」


今日は泊まりなんだし、もっとゆっくり飲んでおけばいいのに。

どうしたのかな?潤兄。


「はい、潤兄好みの濃いのだよ」

「お、さんきゅ」

「桃のはあれだろ?あいかわらずミルクたっぷりのお子様仕様」

「もうっ。そうだけど、お子様とか言わないでよ」


潤兄はハハって笑ってるけど、お子様って言葉に敏感になってる。

結婚のお許しが出なかった理由はそれだから。


「アイツ、挨拶にきたのか?」

「え?」


急に真面目な声で潤兄に言われて少し戸惑う。

酔ってるわけじゃないよね?


「昨日きたんだろ?んで泊まってったってことはそうなんじゃねーの?」

「あー。…うん、そんな感じ」

「そうか……だからおじさんご機嫌だったんだな」


お父さんがご機嫌?

飲んでる時はいつもあんな感じだけど、なんか違う?


「あ、でも。許可されてないの」

「は?!」

「まぁ早い話が私が修行するってことで…


潤兄に昨日の事を話した。


「そんぐらい大した事ないだろ?」

「…そうだけど」

「おまえさ、いいかげん――」
「潤季ちゃん。お酒はもういいの?」


潤兄が何か言いかけた時にお母さんがキッチンから戻ってきた。

お母さんは私の隣に座ってから潤兄に話し始めた。


「潤季ちゃん。いつも桃華ちゃんの面倒をみてくれてありがとうね」

「いえ」

「でももうこの辺で潤季ちゃんのこと解放してあげないとね?」

「え?」


お母さん、何か知って…?

ハッとなってお母さんを見ると、潤兄に微笑んで


「この通りまだまだ子供なんだけどね?それでも結婚したい相手に出会えたから。もう桃華のお守はいいのよ?」

「あぁそうみたいですね?物好きもいたもんだな。桃」

「そうなのよ。このままでもいいって言うんだけどね?それじゃあ私たちが申し訳なくてね。修行させる事にしたのよ」
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