彼と愛のレベル上げ


「さっき桃に聞きました。でも弱気になってるから――」
「昨日はあれほどの啖呵切ったのに、もう自信なくなったの?桃華ちゃん」


ダメでしょ?って顔で見るけど、目は優しい。

だけど、ちょっぴり弱気になったのは本当。だって潤兄の前だとつい甘えてしまうのはそんなに簡単には治らない。


「いやーあの、そういうわけじゃ……」

「桃華ちゃんがいつまでたっても潤季ちゃんに甘えるから、潤季ちゃんだってお守から解放されないじゃない」


え?そうなの?

焦って潤兄の方を見る。


「そんなんじゃないですよ」

「そ、そうだよ、ね?潤兄?」 


だって、この前その件は解決したわけだし。

さすがにジュンさんとの関係を祝福はしてくれないけどしぶしぶ認めてくれたはず。


「そっ、ならいいわ。潤季ちゃんが素敵な彼女連れてくるの楽しみにしてるわね?」

「あぁそう、ですね。そのうち…」


うん、ほんと。私もそんな日が早く来てくれればいいと思ってる。



ピンポーン―――


「あ、私。出るね?」


そう言って玄関に走って行く。

きっとジュンさんが迎えに来てくれたから。



ガチャ―――



「いらっしゃい。ジュンさん」

「ん、モモ。間にあった、かな?」


へ?何が?


「一番におめでとうを言いたくてね?」


近くの神社の除夜の鐘が鳴り響いている。

さっきからずっと鳴っているからそろそろ……


「モモ、あけましておめでとうございます。今年は今までよりももっとよろしくお願いします」


今年はもっと?
今までよりも?


「あ、こちらこそ。どうぞよろしくお願いします」


私はそう言って慌てて頭を下げた。


「あら、堂地さん早かったわね?」

「はい。一番に挨拶をしたかったので」


さわやかな笑顔を浮かべ言うジュンさんにお母さんもちょっと頬を赤らめている。


「お茶をいれるわね?寒かったでしょう?早く入って」

「失礼します」


当然、通すのはリビングだよね?

そこには潤兄もいるんだけど、大丈夫なのかな?
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