彼と愛のレベル上げ
「純哉は桃華さんになんて?」
「…あ、あの。ここに住んでもらわないと困るとか、」
「じゃあ、純哉は桃華さんにいてもらわないと困るのね?」
いやいや、そうじゃなくてですね。お婆様。
『今はここで待ってて』って言われたけど、さすがにそれはここでは言えない。
「私がここに住んじゃダメな理由を言いなさいとか、」
「ダメ、なの?」
「いえ、あのっダメとかじゃなくて、ですね……」
お婆様が主任と同じ聞き方をするから、いつものようにうまい言葉がないか探すけどやっぱり見つからない。
「…なら、純哉を信じてここで待っていてあげて?」
――え?信じて待つ?
今はここで待っててって確かに言われたけど。
待つって言うのは会いに来てくれるのを待つんじゃなくて?
「私、純哉が家に女の子を入れたの初めて見たの。付き合ってる子の話も初めて聞いたわ」
「あら、桃華ちゃん。それは光栄ね?」
えと、
「孫だから言うわけじゃないけどあの子案外真面目なのよね。私にしてみたらもうちょっと遊びがあってもいいと思うぐらいよ」
案外じゃなくて、かなり真面目です。
仕事において、って意味ですけど。
「私の口からいうのはおかしな話だけれど、あの家に住んでしばらく純哉を見ていてくれないかしら?」
主任を見ている?
「……私で、いいんでしょうか?」
「桃華さんが、いいんだと思うわ。純哉は」
私“で”ではなくて。
私“が”いい?
「桃華ちゃん、せっかくの申し出なんだからしばらくそうさせていただいたら?」
「え?」
「そうよ、純哉がいやになったら私にこっそり教えてくれれば新しい所手配するから」
ちょ、お婆様。
なんてこと、言うんですかっ
「ほら、お婆様もそうおっしゃってくれてる事だし」
「え、と。あの。」
「それじゃ帰りにさっそく不動産屋によりますよ?桃華ちゃん」
「え?あ、はい」
お母さんに圧倒されて素直にうなずいた私だった。